「この世界がきみのために存在すると思ってはいけない」

 

自宅の近くにできていて気になってた
よし行くぞと決めて、重い腰をあげる

 

静かな路地の奥にある 本と喫茶のお店
ストーブと墨の幽香がすっと鼻を抜ける

店主さんの細やかなセンスがあちこちに光ってた

 

紅茶とシナモンをじっくり煮出したシナモンミルクティー

コーヒーを飲む気満々でいたのに
メニュー名の下に添えられてる文で心変わりした

ちょっとした何かが、感情や意思判断に及ぼす影響の
計り知れない大きさを、ふと、直で感じた瞬間

 

 

この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない。
世界ときみは、二本の木が並んで立つように、どちらも寄りかかることなく、それぞれまっすぐに立っている。
きみは自分のそばに世界という立派な木があることを知っている。それを喜んでいる。世界の方はあまりきみのことを考えていないかもしれない。
でも、外に立つ世界とは別に、きみの中にも、一つの世界がある。きみは自分の内部の広大な薄明の世界を想像してみることができる。きみの意識は二つの世界の境界の上にいる。

 

目の前にあって読んでみた小説の冒頭に、なぜだか、ドキリとした

読まなければいけない
と、その思いで店を出たあと書店に行って買った
小説を読むのも、買うのもそういえばすごく久しぶりだ

思想やエッセイとかの内向的なものを好みがちだけども
たまにとても好きだと思う小説に奇跡的に出会えることがある

 

素敵な場所、素敵なひとたち、本との出会い